第3章 二話 首が飛ぶ京
「首が飛ぶ のは霊の仕業ではないようだけれど、歩いてみようか」
斎が飄と発言する。
歩いていると、突然、基兼が呆けた声を出した。
「目の錯覚か?いや、ちがう…みたいだが…
あ、アレを見ろ、よ、斎…」
「ん?」
火の玉のような青白い光が飛んでいる。
「火の玉か?」
基兼が眼を擦る。
「いや、首だね」
「首ぃー?」
「あぁ、蹴鞠みたいに首が行ったり来たりしてる。
首が飛んでる と言う話はこの事の様だね、基兼」
悠長な声音の斎が、基兼を見た。
何故斎がこんなにも、冷静でいられるのか基兼にはわからない。
「火の玉…が、首、なのか?」
基兼には首に見えない。
そして、誰が投げ合っているのも見えない。
「見えるようにしてやろうか?」
「…え?…」
答えもしないうちに、斎は口の中で何か唱え、基兼の瞼に指先を付けた。
「ちよっ!人の意見を聞いてからーー…げ…」
制止しようとしたが一声遅く、
基兼が蛙の様な声を出した。
「見えたろ」
「見たくなかったよ、俺は…」