第3章 二話 首が飛ぶ京
「基兼、あの人から詳しい話しを聞いたかい?」
「詳しい?」
「どの辺りで、どの様に首が飛ぶのか、だよ」
明かりのない闇夜でも輝いて見える斎の瞳が、基兼を貫く。
「さあ」
「さあ…って…困った人だね。君も晴明様も。
京の外って、北か南か東か西かも分からないのでは探すのに時間がかかるだろう」
斎がぶつぶつ文句を言っている。
「おい、人が歩いてくる。
問うてみよう。知っているかもしれまい」
基兼がそう言うので斎は右手の辻向こうに顔を向けた。
(女⁉︎こんな刻限に?)
「!」
「お…ぃッぐぅっんん〜」
(シッ)
辻向こうから来た人を基兼は
女と判断したものの、
ボロボロの衣を纏い、
ボロボロの長い毛髪、
皮だけのように細い手足をフラフラさせていて、老婆のようだった。
老婆でなけれは、飢饉にあったか、乞食かの様だった。