第3章 二話 首が飛ぶ京
近衛藤原基兼(もとかね)陰陽寮の側近をしている。
幼い頃から斎と知り合いの為、物の怪の類に、
正しくは 斎 に免疫がある。
「平安京の外では首が飛んでいるとか、
その真実いかに…だそうだ」
基兼が苦笑いで斎に話す。
「あの人は…またか」
「けれど、行くのであろう?
俺も一緒にいく」
「月の消えた日に行く、と伝えてくれ」
「分かったよ。
こら斎、そんな顰めっ面やめろ。綺麗な顔が台無しだ」
基兼の人差し指が烏帽子から出ている斎のなだらかな額に触れた。
綺麗な白い肌。
男にしては細い手、首。
しなやかな動作。
まるで、女子のような容姿。
月の光を受けると猫か狐の目のように金色に見える瞳。
まるで斎自身が物の怪のようだ、
と基兼は常々思っていた。