第3章 二話 首が飛ぶ京
此処は平安京の北の隅。
斎 と言う男は豪華な屋敷に独りで住んでいた。
丸橋の上に立っては、独り誰かと話している。
物の怪憑きだと言われる由縁だ。
まぁ、物の怪は憑いていないが、
物の怪と話しているは確かに間違いなかった。
斎は人に見えないモノが見える。
いわゆる、霊とか物の怪とかだ。
橋のたもとから屋敷に帰ると
侍女が伝言を伝えて来た。
「斎様、中将様がいらっしゃっております」
「ああ、わかったよ。
もし、陰界の様子を見たモノが来たら教えてくれ」
「かしこまりました」
頭を垂れた侍女、これも斎が所有している物の怪だ。
その事は、誰も知らない。
「よう、斎」
この男を除いては、だ。
「お前も暇だね」
「お前程暇じゃないよ。
今日は晴明様の用で来たのだ」
「晴明様が?何だろうね」
斎が細い目を更に細くして薄笑みを浮かべた。