第1章 き、きちゃった?!
未知のものに触れた恐怖から、手に取った女子の必需品アイテムをぶん投げる。
「あっ、こら圭!」
ぼすっとそれを受け取った…いや、受け止めた玲人が俺を短く叱る。
「何買ってきてんだよ!!!」
顔を真っ赤にしながら叫ぶ俺を見た玲人はふっと息を吹き出すと、そのままソファーに顔を埋めるようにして笑い出した。
「っくく…どんだけ驚いてんだよっ…ふはっ、ははっ」
こっちは全然笑えない。
すっかり遠ざけたコンビニ袋の中をちら、っと覗くと中にはまだ女子の必需品アイテムが入っていた。
…何個買ってきたんだよ!
男の玲人がこれをレジに持っていく姿を想像して、俺には絶対真似出来ないと首を振る。
「っはぁー。笑った、笑った」
「…笑ったじゃねーよ…」
ようやく笑が収まったのか、目の淵に溜まった涙を指先で拭いながら玲人はソファーに座り直した。