第3章 非日常が日常に
いつの間にか当たり前になって来ている、この月1で訪れる行事。
「…………」
「圭ちょっと邪魔」
「あ?」
「ごめん。よしよし」
イラつきを露わにケンカ腰の俺の返答にも、怒ることなく頭を撫でてくれる玲人。
ここは生徒会室のソファーの上。
座って資料を確認している玲人の腰にしがみつき、時折舌打ちをしている俺。
どうして俺がイライラしているのかと言うと、それはもちろん生理前だからだ。
「玲人〜、チョコとってぇ」
「はいはい」
甘えた声で語尾を伸ばせば、玲人はテーブルの上なやあるチョコレートを一つ摘んで俺の口に運んでくれる。
口の中で溶けるチョコレートの甘さが少しだけ苛立ちを緩和し、俺は目を閉じる。
玲人が資料をめくる音を子守唄代わりに俺は微睡みの中に沈んで行くのだった。