第1章 き、きちゃった?!
「…圭」
そのまま引き寄せられ、俺の頭はぽすっと玲人の胸に抱き寄せられる。
玲人は俺を責めることなどせずに頭や背中を優しい手つきでなだめるように撫でてくれた。
そのお陰で俺の気持ちも治まっていき、広いその背中に腕を回す。
「……ごめっ…」
「いや、俺も悪かったな…」
ぎゅーっと俺を包んでくれる温もりに、先程のトイレで見た出血の事実が浮かび泣きそうになる。
この年で性病にかかってしまった自分が情けない。
それから…少しだけ、玲人に触れてもらえない寂しさ。
確かにアレは痛かったし実際泣いてしまったが、後半は少し…ほんの少しだけ気持ちよかった。
そんな事、何があったって玲人には教えてやんねーけど。
「……あ」
あ……?
玲人の温もりに浸っていた俺はその声に体を起こす。
何かを見つけたのか、玲人はスマホの画面を見つめたままだった。