第2章 マネージャーとして
しかし、自分のせいで1セット目を落としてしまい影山が良くても他の皆はどうだろうか日向は不安になった。
「おいコラ日向ァ!!」
田中の声に日向はびくりとした。
「他の奴みたい上手にやんなきゃとか思ってんのか。イッチョ前に」
ちゃんとやらないと交替させられるし最後まで試合に出たいとボソボソ言う日向に田中は一喝した。
「オイ、ナメるなよ!!お前が下手糞なことなんかわかりきってることだろうが!わかってて入れてんだろ大地さんは!」
田中は両手を広げて更に続けた。
「良いかァ!バレーボールっつうのはなあ!ネットの“こっちっ側“に居る全員!もれなく“味方“なんだよ!!下手糞上等!!迷惑かけろ!!足を引っ張れ!!それを補ってやるための!!“チーム“であり“センパイ“だ!!!」
ビシッと両親指で自分を指しドヤ顔を決めた田中に日向は目を輝かせた。
そんな二人のやりとりにあずさも目を輝かせて「田中さん、カッコいい」と呟いたのを月島は聞き逃さなかった。
「あんな暑苦しいのが君は良いの?」
怪訝な顔で月島はあずさを見る。
「暑苦しくなんかないよ。ああいう人がチームにいると安心するもん。こういうチームでバレーができるみんなが羨ましい」
切なそうなあずさの微笑みに月島は眉を顰めた。
月島が再び口を開こうとしたとき、2セット目開始の声がかかった。
「けッ・・・月島くん!2セット目も頑張ってね!」
蛍と呼び掛けたのを慌てて月島くんに変えて、あずさは両手で握り拳を作って月島にエールを送った。
先程の表情が嘘かのような彼女の満面の笑みに気になりながらも月島も僅かに微笑んで返した。
2セット目は日向も通常に戻り、日向と影山の速攻が決まった。
日向の囮効果で順調に点を決め、遂に烏野のセットポイントとなった。
そして、日向のスパイクで2セット目が終了した。
烏野 25−22 青葉城西
「青城に影山みたいなサーブ打つ奴居なくて助かったな」
「ああ、ウチはお世辞にもレシーブ良いとは言えないからな」
菅原と澤村の会話にあずさと影山が口を挟む。
「油断しちゃだめですよ。」
「多分ですけど、向こうのセッター、正セッターじゃないです」
影山のその言葉に皆が驚いた。
キャーッ、及川さ〜ん!!やっと来たあ〜ッと言う黄色い声に全員が青城側を振り返った。
