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もういちど。【ハイキュー!!】

第2章 マネージャーとして


あずさは青城側のチームを見渡したが、お目当ての人物は見付からず肩を落とした。

試合開始の笛が鳴る。
「烏野高校対青葉城西高校練習試合を始めます!!」
「お願いしあーす!!!」

目の前の光景は地獄だった。
日向が澤村が拾うはずのボールに手を出したり田中にぶつかったりとガチガチに緊張する姿を見て、「あ、まずい。日向のことをすっかり忘れていた」とあずさは冷や汗をかいた。
このままでは試合にならない。
既に青城の1セット目のセットポイントになっていた。
お願い次のサーブで流れを変えてくれとあずさを含めた全員が祈ったがすぐに愕然とした。
このタイミングで、次のサーブはあの日向だ。
 
「日向、大丈夫かな」
あずさは手を胸の前で組んで、せめてサーブが相手コートへ入ることを祈った。
しかし、笛の音に焦って打ったボールは・・・

バチコーン!!

盛大な音を立てて見事に影山の後頭部に直撃した。

青葉城西 25−13 烏野
1セット目終了の笛が鳴った。

澤村、菅原がキレそうな影山にハラハラする中、田中と月島の笑い声が木霊する。
「ブォハーッ!!ぅオイ後頭部大丈夫か!!!」
「ナイス後頭部!!」

二人の大笑いにあずさも堪えていた笑いが溢れそうになる。
それを察知した影山が寄越した鋭い視線により何とか押し留めた。

ゆらりと方向転換した影山は静かに日向の元へ向かった。
怒鳴りもしない影山に「ああ、この感じは飛雄のマジギレだ」とあずさは怯える日向の身を案じた。

「お前さ」
「ッハイ」
「一体何にビビってそんなに緊張してんの?相手がデカイこと?初めての練習試合だから?」
冷汗を噴き出しながら日向は影山に詰められていた。
「俺の後頭部にサーブをブチ込む以上に恐いことって・・・なに?」
「・・・とくにおもいあたりません」
「じゃあもう緊張する理由は無いよなあ!もうやっちまったもんなあ!一番恐いこと!」
スパァン!スパァン!と自分の後頭部を叩きながら影山は更に日向に畳み掛ける。

「それじゃあ・・・とっとと通常運転に戻れバカヤローッ!!!」
「アレ?今のヘマはセーフ!?」
「は!?なんのハナシだ」
金田一のせいで影山の前でヘマをすれば交替させられると空回っていた日向は今のやりとりに脱力した。
今のヘマが大丈夫なら大体大丈夫ではないかと。
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