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もういちど。【ハイキュー!!】

第2章 マネージャーとして


あずさは先輩達を尊敬していた。
強豪校として学校の名に驕ることなくバレーと向き合っている先輩達に対し、同級生達の言動は目に余るものがあった。
あずさは練習で出来ないことを試合で発揮できるとは思わなかったし実際、同学年だけでのチームで試合をした時にはラリーが続くとスタミナ切れで球を落としたり緩い球もレシーブ出来なかったりと練習不足が目立っていた。

試合に負ければ、悔しそうにするチームメイト達にあずさはやきもきしていた。
自分がいくらボールを拾い、点を決めようとも周りがグズグズでは意味はない。高いポテンシャルを持っているチームメイトは多いはずなのに発揮出来ていないことが悔しかった。
そんな悔しさがあずさの言葉に表れ、どんどんチームメイト達との心の距離は広まっていった。

3年生の言葉に渋々と言ったようにチームメイト達は練習に戻って行く。
あずさが顔を出すと先輩達は目を見張った。
『あずさ・・・いたんだ』
あずさは先輩達を見据えたまま『はい』と言った。
自分は間違ったことを言っていない自信があった。

『悔しよね?でも、あの子達に厳しい言葉だけじゃ伝わらないよ。私たちは卒業してあんたはあの子達と一緒に戦わないといけないんだよ。そうなったら今のままじゃチームは纏まらないよ』
そう言ってキャプテンを務める彼女はあずさを真っ直ぐ見つめた。

『・・・はい』

自分でも今のままではダメだと分かっていたから最低限の練習メニューだけでもするよう頼んだり先輩達に教えてもらったレシーブやサーブのコツを教えたりしたが『わたしは貴方みたいに天才じゃないから』と断られてしまった。

その結果があの試合だった。

そこまで、思い出してあずさはハッとした。
いけない。これ以上は思い出してはダメ。切り替えないととあずさは気持ちを切り替えるため気合いを入れるように両頬を掌で打ちつけた。

「よし、もう大丈夫」
あずさは体育館へと歩き出した。

「すみません、遅くなりました」
あずさが体育館に入ると、もう試合が始まろうとしていた。
あずさの顔を見ても誰も何も言わない。
月島と影山には怪訝な顔をされてしまったが、何も言われなかった。
月島の顔を見ると不思議と心が落ち着くのをあずさは感じていた。
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