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もういちど。【ハイキュー!!】

第2章 マネージャーとして


ポロポロ溢れる涙を拭ったあずさは力強い目で
「潔子先輩、先に行ってください!すぐに泣き止みますから!」
先程の弱々しい彼女ではない顔付きに清水は「分かった。無理しないでね」と微笑んで先に体育館に向かった。

気持ちを切り替えなくてはいけない。
今からバレー部の皆は試合だ。サポートする自分がこれでは選手に影響を及ぼしてしまうとあずさは必死に心を落ち着かせた。
大丈夫、あれは過去のことだと。


中学2年のとき、練習メニューを終えたあずさは同級生のチームメイトたちが自分のことを話しているのを聞いてしまった。
『あずささ、絶対自分はバレー上手いって思ってるよ。私らのこと見下してさ』
『思ってるでしょ。さっきも偉そうに私たちに指図してたし、先輩かよっ』
ギャハハと笑う彼女達の下品な声にあずさは顔を顰めた。

この少し前にあずさとチームメイトたちはコーチから課された練習メニューについて揉めていた。今しがたあずさが終えたランニングでチームメイトたちは近道をしようと脇道に入ったのを何周も先を走っていたあずさは見逃さなかったのだ。

『何してるの?練習で手抜いたら意味ないでしょ』鋭い眼差しで言ったあずさに彼女達は悔しげに顔を顰めて『ウザっ』と言ってあずさを無視してゾロゾロと皆脇道に入っていった。

常日頃から練習に手を抜く彼女達にあずさは苦言を呈してきた。自分はバレーが上手いと思ってると彼女を嘲笑うチームメイトたちにあずさは思ってるよと唇を噛んだ。
自分は課されたメニューはこなしているし、自主練だってしている。それに女子の練習では足りないからと男子の方にも混ぜてもらって練習を重ねてきた自分が彼女達に劣っているはずがないと。

彼女達に言ってやらないと気が済まないとあずさが足を踏み出そうとした時『そんなこと言う暇あるなら練習しなさい』とチームメイトたちにピシャリと言う声が聞こえた。

3年の先輩達だった。
『実際あずさは上手いでしょ?その分努力もしてる』
先輩達とは1年の頃にあずさがスタメンに選ばれてから一緒に戦ってきた。
同級生のチームメイトよりも強い絆で結ばれている。
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