第1章 出会い
そして、休憩を挟むとすぐに2セット目のゲームが始まる。
月島と山口の顔にもう先程の余裕は見られない。
2セット目はどんどん得点が決まる。
飛雄と日向がリードする。
「影山・・・確かに凄えけど、すんごい神経すり減らしそうだなあの精密なトス。日向も普通の何倍も動き回ってしんどそうだ」
あずさたちは目の前で繰り広げられるプレーに呆気にとられていた。
「うん・・・でも、楽しそうだ」
と菅原は笑った。
影山と日向が嬉しそうにガッツポーズをしているのを見て、あずさは柔らかい笑みを溢した。
ピピーッと試合終了の笛が鳴った。
月島・山口 21 - 25 影山・日向
2セット目も影山と日向が取り、試合に勝った。
あずさは試合を終えた2人に飛びついた。
「飛雄、日向。おめでとう!」
「辻さんのおかげだ!」
「俺のおかげだ」
と影山は不敵に笑って言った。
自信を取り戻した影山にあずさは安堵した。
日向が月島たちのところへ行こうと誘うので、嫌がる影山を連れて3人でそちらへ向かう。
「月島!」
日向が月島に手を差し出した。
「・・・何。」
「試合の最初と最後に握手すんじゃん。今日の最初はしてないけど。それにこれからはチームメイトだしっ、嬉しくねえけどっ」
と手を差し出し続ける日向。
握手しようとしない月島に焦ったのか、日向はコソコソと話し出した。
「はやくしろよっ。お前知らねーの!?」
チラチラと澤村を確認する。
「ちゃんとチームメイトの自覚を持たないと体育館から放り出されるんださぞ!」
「・・・君らが体育館出禁になったのはキャプテンの再三の注意をシカトして勝手に勝負を始めた挙句、教頭のヅラを吹っ飛ばしたりしたからデショ」
呆れた様に言う月島の言葉にあずさは声をあげた。
「そんなことしたの!?初耳なんだけど!2人とも信じらんないっ」
「い・・・いいじゃねーか。細かいことはっ」
あずさと月島の言葉に日向はばつが悪そうにした。
「ハイ、握手ーっ」
日向は月島に飛び掛かった。
悪そうな顔で笑う影山の横であずさは「もっとやれー」と煽った。
大騒ぎする1年たちは、何やってんだ1年共と先輩たちの視線を集めていた。
結局、月島と山口は日向に強制的に握手をさせられてげんなりしている。