第1章 出会い
影山と日向は何度も速攻を試みるがタイミングが合わず中々成功しない。
「影山、それじゃあ中学の時と同じだよ」
と菅原が口を開いた。
日向の能力があれば慣れれば速い攻撃は可能だという影山に
「日向のそのすばしっこさっていう武器お前が殺しちゃってるんじゃ無いの?」
と菅原は言った。
「技術があって、ヤル気もありすぎるくらいあって何より・・・”周りを見る優れた目”を持ってるお前に仲間のことが見えないはずがない!!」
菅原のその言葉に影山は頭を悩ませたあと、日向に力強く言った。
「お前の1番のスピード、1番のジャンプでとべ。ボールは俺が持っていく!」と。
影山は集中するとブロックの位置、ボールの位置、スパイカーの位置はどこか。次はどう動きどこに跳ぶのか日向の最高到達点はどこかを瞬時に判断した。
影山のトスは上がり、日向のスパイクが綺麗に決まった。
ドンピシャのトスだった。
何度も日向にトスが上がる。
でも、先程の様にはいかない。
先程のはマグレかと言う部員たちにあずさは言う。
「トスの精度は上がってきてます」
「そおか?」
「うん、確実に精度が上がってきてるよ」
と菅原は前を見据えたまま言った。
田中のレシーブでボールが上がり、日向が攻撃のために走り出した。
とぶ。いや、ブロックを躱した。
日向は高く跳び上がった。
手を伸ばしたさきに、ボールが来る。
日向が打ち下ろしたスパイクは決まった。
影山のトスの精度はどんどん増していき、あっという間に点差はひっくり返った。
飛雄の正確なボールコントロールもすごいけど、日向の身体能力もずば抜けている。
この流れでいけば、絶対に勝てるとあずさは笑みを溢れるのを我慢出来なかった。
影山・日向 24 - 23 月島・山口
あと1点で1セット先取できる。
「そう何本も抜かせるかよ!!」
この状況に先程までただ跳んでいただけの月島のブロックが本気になった。
だが、トスはそちらに上がらない。
日向に引きつけられた月島は田中の方に上がったトスに反応が出来ず、
「いらっしゃアアアい!!!」
田中のスパイクが決まった。
1セット目は影山・日向が取った。