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もういちど。【ハイキュー!!】

第1章 出会い


「・・・なんなんだてめぇ」
「・・・県予選の決勝見たよ」

あずさも見たあの試合はきっと影山のトラウマだ。

「あ〜んな自己チューなトスよく他の連中我慢してたよね。僕なら無理」

雲行きが怪しくなってきた。
これ以上はやめてあげてよ月島くんとあずさは唇を噛み締めた。

「・・・ああ!我慢できなかったから、ああなったのか」
月島は挑発するかのようにチラリと影山を振り返った。

あの時、影山が上げたトスのさきに


だれもいなかった。


チームメイトからそっぽを向かれるつらさ。
”あの時”の光景を思い出すと胸臆が焼け切れるのような痛みが走った。

まだ癒えぬ傷を抉られた影山はガッと月島の胸ぐらを掴み上げた。
これ以上はまずいと思ってあずさは一歩を踏み出すと影山はすぐに手を離した。

「・・・切り上げるぞ」
踵を返して月島たちに背を向けた影山。
「ええっ!?おいっ」

「逃げんの?”王様”も大した事ないね〜」
と月島はボール遊びをしながら笑って影山を煽る。
「明日の試合も王様相手に勝てちゃったりして」
そう言いながらボールを上へ弾ませていた彼は月島の背よりも高く跳んだ日向にボールを奪われた。

彼からは想像も付かないその高さにあずさも月島も山口も、目を見張った。


「王様王様ってうるせえ!おれも、居る!!!試合でその頭の上打ち抜いてやる!!」
力強く叫ぶ彼に胸の痛みが和らぐようだった。

「そんなキバんないでさ、明るく楽しく程々にやろうよ。たかが部活なんだから」

”たかが部活”
一線を引いた様な月島の物言いにまた心が重くなる。

月島と山口がこちらにやって来る。

「・・・ま、待ってツッキー!ど・・・どうかしたの!?」
「・・・イライラすんだよ。無駄にアツい奴って。”王様”も・・・さっきのチビも」

貼り付けた笑顔で何度も影山に突っかかっていた彼も不機嫌さを隠そうともしない今の彼もあずさは知らない。

ピタッとあずさの目の前で止まる彼ら。

「立ち聞き?趣味悪いよ」
彼は僅かに目を見開いた後、冷めた目であずさを見た。
「うん、月島くんもね」
そう言ったあずさに月島は眉を顰めて睨んだ。

「月島くんはすごーく機嫌が悪そうだね」
あずさも月島を睨み返した。
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