第1章 出会い
顔合わせだけだと聞いていた委員会は1年から3年までの全員の自己紹介に活動内容の説明、担当の割り振りなど思ったよりも時間が掛かってしまった。
校舎を出る頃にはもう陽は落ちてしまっていた。
2人はまだやっているだろうか。
今日はもう練習は無理だろうと制服のまま足早に校庭へ向かう。
「へーっ、本当に外でやってる!君らが初日から問題起こしたっていう1年?」
「Tシャツ!?寒っ」
人を揶揄う楽しそうな声が聞こえてきた。
日向の前にいるのは見覚えのある2人。
「かっ返せよっ」
「小学生は帰宅の時間じゃないの」
とボールを持ち上げて日向を揶揄う月島がいた。
わたしはその光景を見守ることにした。
「誰なんだお前っ」
「入部予定の他の一年・・・か?」
影山は日向を遮り、月島を睨みつけた。
「お前身長は?」
「ツッキーは188cmあるんだぜ!もうすぐ190cmだ!」
「ひゃくきゅっ」
「なんでお前が自慢すんの山口」
「あっゴメン、ツッキー!」
なんだか誇らしげに笑う山口といつもの月島にあずさはくすりと笑みを溢した。
「アンタは北川第一の影山だろ。そんなエリートなんで烏野に居んのさ」
「・・・あ?」
いつもよりもトゲのある言い方で月島は影山を挑発する。
2人の間に割って入った日向は
「おっ、おいっ!!!明日は絶対!!負けないからな!!」と宣言した。
「・・・あ、そう。」
興味なさげに彼は答えた。
「君らには重要な試合なのか知らないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね。勝敗に拘り無いし、君らが勝たないと困るなら・・・」
と彼はボールを手の上で弾ませながら
「手、抜いてあげようか?」
ニコリと笑って言った。
ほんと、いい性格してる。
「なんだーっ!!?」
「・・・てめぇが手ぇ抜こうが全力だそうが俺が勝つのに変わり無えんだよ」
挑発に乗った影山は眉を顰めて月島を睨みつけた。
「ハハッすごい自信!さすが”王様”!」
再度挑発するように彼は笑った。
月島は”禁句”を口にした。
「オイ!その呼び方」
影山が苛立っているのが見て取れた。
「おおっ、本当だ!」
「あ゛?」
「”コート上の王様”って呼ばれると、キレるって噂。いいじゃん”王様”カッコイイじゃん!すごくピッタリだと思うよ”王様”!」
月島は煽る様に何度も”それ”を口にした。
