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もういちど。【ハイキュー!!】

第1章 出会い


試合前最後の早朝練に日向と影山はいつもに増して気合いが入っていた。

目の前で繰り広げられる光景は最初の頃に比べると大分マシになった。
日向は昨日のトスがよほど嬉しかったのだろう、度々ニヤニヤしては影山に怒鳴られていた。

「そろそろ時間だぞ〜、片付けろよ〜」
菅原の声に時間を確認すると6時半を回っていた。
早く片付けなければ他のバレー部員たちが来てしまう。

あずさはボールを片付けながら影山と日向に声を掛けた。
「今日の放課後、委員会の顔合わせがあるから遅れるね。」
「おい日向!あずさがいなくても手抜くんじゃねーぞ」
「分かってるよ!俺はいつも真剣だ!」
「さっきのはなんだよ、ニヤニヤしやがって。もっと集中しろ!」
と2人が喧嘩を始めるので菅原が間に入り嗜めに行った。

明日の試合を思うと気が重くなり、思わずため息がこぼれる。

「辻ちゃんお疲れさん」
と据わった目をした田中に労われた。
きっと2人と一緒に試合に出る田中の方が大変だろう。
「田中さんもお疲れ様です」

未だ喧嘩を続ける2人を眺めながら、2人は大きなため息を吐き出した。


早朝練後の仮眠は早くも習慣になっていた。
今日も見られているんだろうと覚悟して顔をあげる。

「今日も見てたんだね、月島くん」
「だって辻さん、いびきかいてるから面白くて」
貼り付けたような笑みで彼は言った。

わたしを揶揄うための嘘だということは分かっていると月島を睨んだ。
月島の後ろで慌てふためく山口が視界にうつった。
「うそだね。もう騙されないよ」
「へー、信じないなら別にいいけど」
と言って笑顔を浮かべる月島に不安になる。

「・・・本当にかいてた?」
「冗談だよ」

やっぱり揶揄っていた。

「どうしてそんな意地悪言うの?」
ムッとして月島を睨みつける。
「ごめん。辻さんは表情豊かで面白いから」
ふわりと月島は笑った。

ずるい。

ムッとしたことも忘れて、赤くなった顔を隠すように再び机に突っ伏した。
りょうこがやって来て宥めてくれるまで・・・


「じゃあね!月島くん!」
終鈴のチャイムが鳴りホームルームが終わるとあずさはすぐに席を立った。
まだ怒ってるだからねとアピールをして月島に背を向ける。

そんなあずさを見て月島はくすりと笑った。
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