第1章 出会い
汗を拭いながら必死にボールに食らいついていく日向だか、中々ボールは前に返らない。
「おっ、今日もやってんね」
そう言いながら誰かが体育館へ入ってきた。
「スガさん!おはようございます!」
田中がその人物に挨拶をすると、影山と日向も続いて挨拶をした。
3年生かな?とあずさも挨拶をしようとそちらに向かう。
スガさんと呼ばれた人はあずさに目を留めると驚いた様に目を見張った。
「お邪魔してます!1年の辻あずさです」
と慌てて頭を下げた。
「俺3年の菅原孝支。朝から見学?」
菅原は不思議そうに頭を傾けた。
「なんか、影山に駆り出されたらしいッス。日向にレシーブ教えたりボール出ししてくれてます」
と田中がにこにこと説明してくれた。
「おー、朝から大変だなー」
と苦笑する菅原に
「好きでしてることなんで、大丈夫です」
とあずさは笑って返した。
「そっか、ありがとな。よし!かげやまー、スパイク変わるぞー」
菅原はにこりと笑って日向と影山の方へ向かっていった。
そして田中と影山はトスとスパイク練習を、菅原と日向でレシーブ練習を再開した。
そして時間ギリギリまで練習は続けられた。
早朝練の後、教室はまだ開いていない。
まだクラスメイトが登校してくるには早い時間だ。
あずさは事務室から取ってきた鍵で解錠し教室へ足を踏み入れた。
教室は静まり返っていて、外で運動部がアップする声がかすかに聞こえる。
静かな教室は眠気を誘い、少し眠ろうとあずさは机に突っ伏した。