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世界は変わらないと知っていても

第2章 母の思いで


婚約したことでクライン家とザラ家に交流ができた。

「初めまして、シシア?」

アスランの母親に初めて会った。
私より少し明るい紺色の綺麗な人だった。

「実はもうすぐ農業用のプラントに研究に行っちゃうから、少ししかいないの。父親同士で仲良くしてるし、アスランとラクスは婚約しゃだし。私たちあぶれ者同士仲良くしましょ?」

パッと花が咲いたように眩しい笑顔だった。

「はい、よろしくお願いします。」

笑顔を作りながら手を差し出す。

「実は私娘が欲しかったのよ。」

そう言いながらレノアはずっとそばにいてくれた。
ご飯を一緒に作ったり、本当の親子のようにショッピングに出かけたり。
私を外の世界に連れて行ってくれた。

一緒に服を選んで、おしゃれして。
髪の色が似ているから本当の母親だと見られているかもしれない。
心の中でどこかウキウキしていた。

レノアがいる間できるだけ彼女の元へ行き、一緒に時間を過ごした。
少しだけ、明るくなり、父がホッとしている様子を何度か見た。

「本当に行ってしまうの?」

レノアがユニウスセブンに行く日。
寂しくてたまらなかった。

「時間を見つけたら帰ってくるわ。あなたも遊びにきて?」

レノアはごそごそと箱を取り出す。

「これあなたに似合うと思って。」

レノアが箱を開く。

金色のアールヌーボー調の模様のバレッタ。
所々にサファイアが散りばめられている。

「これ・・・。」

「あなたの長い髪がとても素敵だわ。お姉さんが有名だから比べられることもあるだろうけど、あなたも十分綺麗だわ。」

「レノアさん・・・。」

柔らかな笑顔でシシアを抱きしめると、搭乗口へと消えて行った。

彼女の約束どおり、その一ヶ月後アスランとレノアのいるプラントへと行くことになった。
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