第2章 母の思いで
「ラクスは来なくてよかったの?」
「うん。忙しいみたいだしね。」
婚約者の妹と旅行など普通嫌がるだろうに。
アスランは鈍感だ。
いや、ラクスもラクスだ。
「お母さん喜ぶよ。シシアのことすごい気に入ってたみたいだし。」
「うん・・・。」
アスランとはラクスに会いに来るときに少し喋るくらいだ。
ぎこちなくなるカロ思ったけれど意外と冷静でいられた。
だがシャトルではできるだけ目をつぶって寝ているふりをしてた。
「シシア、起きろ。着いたぞ。」
優しく肩を揺すられる。
どうやら本当に寝てしまったらしい。
「アスラーン!シシア!!」
空港までレノアが迎えに来てくれていた。
その笑顔を見た瞬間どうしてか泣たくなった。
荷物を捨てレノアに向かって走って行く。
「シシア!」
困ったようにアスランが荷物を拾う。
「どうしたの?甘えん坊さんね?」
レノアにからかわれるが、だぜだか心地よかった。
暖かい。
この暖かさが永遠に続ければいいのに。
「ごめんね、まだ仕事終わっていないの。だから今の家に送り届けてからまた仕事に戻るわね。」
エレカに乗り込みプラントを走る。
「すごい・・・・。」
都市とは違うのどかな風景に心が落ち着く。
空気が澄んでいるような気がする。
深く深呼吸をする。
「いいところでしょ、空気も綺麗で。ここは時間の流れがゆったりしているでしょ。時間がある時間があるならゆっくりして行ったら?」
「はい・・・。」
嬉しそうにシシアが返事をする。
その穏やかな笑顔を見てアスランも胸をなでおろす。
「アスラン、明日ホームパーティーがあるんだって。手伝ってくれる?」
「いいけど?ここで?」
レノアの家に滞在して三日目。
毎日陽に当たりながら読書をしたり、昼寝をしたり穏やかに過ごしている。
誰もいないから人の目を気にしなくても良い。
アスランは相変わらず部屋にこもり機会をいじっているようだ。
「明日、職場の人を連れて来るから、よければ用意してくれないって。」
「でも、俺料理とかできないよ。」
「買い出しとか手伝って欲しいの。」
確かに、パーティーというのだから結構な数の人が来るかもしれない。
「わかった。」
ジャケットを羽織り、アスランと二人で食料品を買いに出かけた
。