第10章 暖かな光の中で
「シシア!!!」
ストライクルージュに回収されたユニコーンはエターナルへと運ばれた。
「何重にもロックがかかっていて・・、開けるのに時間がかかりそうです・・!」
ユニコーンには生体認証が組み込まれており、なかなか厄介な機体となっている。
「シシア!!開けてください!!」
ラクスは今まで見たことがないほど取り乱していた。
「ラクス・・・。」
そんな彼女をキラが優しく抱き寄せる。
「アスラン!!シシアは!!」
そこにエターナルからイザークとディアッカもやってきた。
「この機体には彼女の生体認証のプログラムが組み込まれていて、外から開けるのに時間がかかるんだ・・・。」
「何!!?」
「開きますよ!!」
エターナルの整備兵がやっとの事で解析を終える。
「シシア!!!」
誰よりも先にイザークが飛び込んだ。
結晶化したユニコーンの結晶がシシアの腕や肩、様々なところに刺さっていた。
その結晶に触れるとまるで幻かのように消えていった。
しかし、シシアの傷は消えなかった。
「医療班を!早く!!」
イザークが彼女を抱きかかえながらコクピットから出てくる。
ラクスはあまりの怪我のひどさに言葉を失った。
イザークがパイロットスーツを脱がせる。
「いざ・・・く・・?」
シシアが意識を取り戻した。
「喋るな!!!」
「私・・お母様にあったの・・。美しくて・・、綺麗な人だった・・。誰よりも争いを嫌い、世界を愛し、私を愛してくれた・・・。」
「わかったから、黙って・・」
ゆっくりとイザークにキスをする。
「ば!!!お!こんな時に!!!」
イザークが真っ赤になって怒りだす。
シシアはその様子を楽しそうに見ていた。
張り詰めていた空気が少しだけ緩んだ。
「イザーク・・・。」
「わかっている」
担架に乗せられるシシアの手を掴む。
「一緒にいるから、安心して寝ろ。」
そう優しく微笑むと、すっと眠るように瞳を閉じた。
一人では何も変えられなくても、きっとあなたとならこの世界で生きていけるとそう、思うことができましたーーー