第9章 最終決戦
隊長になれたというのにちっとも嬉しそうではない。
「イザーク・・。部屋に戻るわ・・。」
「ん?ああ・・。」
医務室は心地が悪い。
イザークの手を借りて自分の部屋に戻ろうとするが、自分たちがいた母艦ではないため部屋にはいけなかった。
「俺の部屋でいいだろう。」
ぶっきらぼうに言われる。
顔を背けているが見えている肌は赤くなっていた。
クスリと笑ってイザークにもたれかかる。
「うん・・・。」
このまま時が止まってしまえばいいのに。
このまま、二人でいられたらいいのに。
ボアズに侵攻が始まった。
心のざわめきが止まらない。
何かくる。
「まだ出撃命令は出てませんよ!」
整備兵に呼び止められる。
「少し気になるから・・。特務隊の権限を利用してちょっと出てるわ。」
そういうと慌ただしく出撃のシークエンスが発動される。
自分の勘は当たる。
いや、勘ではない、必然であるから。
出撃すると不審な動きをする地球軍の機体が多くいた。
「あれは・・・・核!?」
これではいくらボアズといえど、一瞬で落ちる。
「こちら特務隊所属!シシア・クライン!!核がくるぞ!!全艦退避!!」
少し離れた艦隊は対応できたようだが、もうすでに手遅れな場世にいるモビルスーツや艦がほとんどだった。
ナチュラルだと舐めて突っ込んで行ったのだろう。
幾らかは撃ち落としたものの、虚しくボアズは落とされる。
「おのれナチュラル!」
「シシア・クラインの出撃により、3割は被害を免れたものと・・・!!」
「ほぼ全滅に近いではないか!!」
パトリックが自らの腕を振り下ろす。
「直ちに攻防戦を張れ!クルーゼ!ヤキン・ドゥーエげ上がる!ジェネシスを使うぞ!」
側にいたクルーゼが一人口角が挙げたのに誰も気付くことはなかった。
「この艦からから出るのか?」
「うん、お世話になるわ・・・。」
なんだか照れくさくてついうつむいてしまう。
「シシア・・お前は一体誰が好きなんだ・・・。」
こんな状況で聞かれる話とは思えず、思わず首を傾げた。
「だから・・・!お前は誰が好きなんだ!!」
顔を真っ赤にさせ恥ずかしいことを二度も言わせるなとブツブツと口ごもる。
「イザーク・・・。」
彼の胸に抱きつく。
「私は・・・。」
その言葉を言ってしまってはなぜか帰ってこれない気がした。