• テキストサイズ

世界は変わらないと知っていても

第8章 デペンデンス


「お前はアスランと同じ考えなのか?」

やはり息子に否定されたのは心にくるのだろう。

「後には引けぬとお考えですか・・・?」

「いいや、この道が正しいのだ。お前はレノアが気に入っていたからな。これ以上私を裏切ってくれるな。」

議長としてずっと気を張っていたのだろう。
疲れがにじんでいた。

「パトリックおじ様・・・。」

「なぜこうもうまくいかん。なぜ、ナチュラルが全て滅べば・・・争いもなくなるというのに・・・。」

「ならば私もこの場で死にましょうか?」

「どういうことだ?」

その問いに答えず、弱弱しく微笑んだ。

「私の父から・・・私の出生について何か聞かされてることはありませんか?」

「なんだ急に?そんなことは・・。いや、一度だけ何か聞いたことあるな。レノアから。」

「ああ、レノア・・・・。」

机に飾られていた写真を眺める。
家族を、アスランを守りたかったはずなのに、どこで道を間違えたのだろう。
写真を見つめるパトリックにこれ以上話しをすることができず、執務室から立ち去った。

その後、アスランはバルドフェルド隊長とラクスとプラントを脱出し、三隻同盟に加わった。
アスランにも追撃命令が出た。
彼はもうわからなくなってしまったのだろう。
なんのために戦うのか。

「実の息子を殺せだなんて・・・。」

狂っている、敵も味方も。
それが戦争だ。

『お前たちが戦争を連れたきた!!お前たちがくるまでこの島には争いはなかった!!』

声が響く。
これは私の海の母親の声。
そう直感した。

『血を流し、大地を汚した!それでもまだ!私たちから奪うのか!!!』

ごめんなさい、お母様。
あなたが憎んでいる戦争に参加してしまった。

「だから、私が見届けます・・。私が終わらせます・・・。お母様・・・。」

祈りは母に届くだろうか。
/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp