第8章 デペンデンス
「お呼びでしょうか?」
「ああ、気には本国につたら直ぐに出頭するように目入れが下されていてな。」
きっと父親やラクスのことだろう。
「隊長はこの戦争どうお考えで?」
「どう・・か、早く終わらせたいものだな・・」
「建前でなくて、どうしてこの世界を滅ぼそうとしているのですか?どうして世界を憎んでいるのに愛しているのですか?」
クルーゼの余裕のある表情が消え、空気がピリつく。
「何?」
シシアが近づきその仮面を外す。
クルーゼはその腕を強く掴む。
「なんの真似だ?」
「どうして・・・そう憎まれようとするのですか?」
腕を掴んだまま、ベットに押し倒す。
「この混沌の世界で、収まることなく広がり続ける戦果の中で・・。あなたは・・・。」
そっと彼の顔を両手で包む。
「私に初めて居場所をくれたのはあなたでした、あのバルコニーで・・・・・。そして、また私に居場所をくれた。」
クルーゼはじっと彼女を見つめる。
真意を探ろうとしているのだろう。
「今のザフトが正しいとは思いません・・・。でも、私はここにい続けます。最後まで、あなたのそばにいます。」
「君はイザークが好きだっただろう?」
「ええ、大好きです・・。ずっと・・・・」
クルーゼが唇を重ねる。
「悪い女だ・・・。」
シシアの腕をベットに押さえつける。
再び口づけを交わす。
「悪者になろうとしないで・・・・。」
きっとこの行為も嫌われるためにしているのだろう。
「私が・・・・、最後まで見届けます」
シシアは一人本国に戻り、議長となったパトリックザラの元に向かっていた。
「失礼いたします。シシア・クライン出頭いたしました。」
「ああ。お前の父親と姉のことは聞いているな。」
「はい」
「お前は何も知らなかったのか?」
「ずっと地球に降りました。それに、クルーゼ隊長からお話を聞いているのでは?」
「ふん!まぁ良い、お前には・・」
その時、通信がはいった。
「特務隊、アスラン・ザラが、単身地球軍のものと思わしきシャトルにて、ヤキン・ドューエへ帰投しました!!」
「地球軍のシャトルだと!!?」
驚くのも無理はない。
「事態が事態ですので、身柄を拘束して降りますが・・。」
「すぐここへよこせ!!!」
大きなため息をつき、椅子に座り直した。