第8章 デペンデンス
イザークが補給の間自身も休んでいると、整備班の会話が耳に入ってきた。
「この機体も補給すんのか?」
「いや、パイロットが運ばれてたからいいだろう。」
「それにしてもすごいよな・・・。西の方の艦隊全滅だってよ、この機体で・・。」
「そんなすごい奴には見えなかったがな・・。腐ってもクルーゼ隊ってな。」
パイロットが倒れた?
しかし機体は被弾していない。
いや、彼女はナチュラルなのだ。
どうでもいい。
そう自分に言い聞かせ、再びデュエルに乗る。
小さい頃の夢を見た。
お前はとても感性が強い子だと言われた。
すぐに共鳴してしまうから、その力を閉ざさねばならないと。
どこかに連れていかれたのを思い出した。
「おかあしゃま、ここは?」
幼い自分がたどたどしく呼ぶ。
「ここは、あなたのお母様がいるところよ。」
「おかあしゃま?」
どういうことだろう、隣に母がいるのに。
これ以上思い出してはいけないと、体が継承を鳴らす。
「あなたの才能はあなたのお母様のものから。あなたは何にでも干渉できる力を持っている。人間も、自然も、機会も・・・。」
幼い自分は話が難しく、首を傾げていた。
「何にでも共感してしまうあなたは、このままだと自我を持つ前に壊れてしまう・・・。あなたのお母様のように・・・。」
お母様・・・・。
すっと涙が流れた感覚で目をさます。
大きく基地が揺れた。
まだ戦闘は続いているのだろう。
『あなたは何にでも鑑賞干渉できる力を持っている・・・』
頭に母の声が響く。
ズキンと頭が痛むと同時に、たくさんの人の思いが流れてきた。
「痛い・・・痛い・・。」
戦場で死んでいく恐怖、戦果をあげた喜び、人を殺しているという罪悪感、言葉にできない絶望。
そして、空からくる、大きな希望。
地面から感じる絶望。
シシアは思わず駆け出していた。