第8章 デペンデンス
「おい?横の機体も出るのか??」
スピットブレイクが発動され、戦闘準備に入り忙しそうに動く整備兵を捕まえる。
「みたいだぞ。」
それ以上は忙しいと言わんばかりに走れ出す。
真っ白なパイロットスーツに身を包んだシシアが歩いていた。
松葉杖を使い、どう見ても戦場に出れる状態ではない。
だがイザークは見ないふりをした。
「体調はどうだ。」
「大丈夫です。」
「そうか、無理だと思ったらすぐ帰還すればいい。」
さらりと髪を撫でる。
少しうつむきがちに嬉しそうに頰緩める。
「はい。」
そのやりとりを見て胸が痛んだ。
自分と別れたら次の男か。
イザークは機体に乗り込み、発進の準備をした。
痛み止めを全身にうち、なんとか動ける状態でコックピット乗り込む。
やっと、この機体の性能を引き出してあげれる。
これで彼の役に立てば、私を認めてくれる。
「ハッチを開きなさい。シシア・クライン、ユニコーン出る!」
戦場の前線に陣取り、次々と艦を沈めていく。
「くっ・・!」
少しの振動が苦しい。
メインとなる母艦が見えた。
「いけぇぇ!」
スラスターを全開にし、音速で艦に突っ込む。
敵モビルスーツが集まってくる。
一機倒し、その一機を踏み台に上へ上へ登っていく。
そして真下を見下ろし、マグナムバズーカーで母艦を撃ち抜く。
落ちていく重力に意識が飛びそうになる。
「まだ・・・、まだ!!」
気力だけで自分を奮い立たせる。
意識を保つので精一杯だ。
「燃料切れ・・・」
仕方なく母艦に戻る。
痛み止めをもらおうと、コクピットから降りる。
「シシア。」
どうやらクルーゼも帰ってきたらしい。
「隊長・・・。」
「もういい、休みなさい。
「ま、まだ戦えます・・・!」
「だめだ、このままでは死ぬぞ。救護班を呼べ!!」
大げさに担架が運ばれてくる。
クルーゼはパイロットスーツを脱がせる。
中は血で染まっていた。
「また傷が開いたか・・。しばらくは乗るな。」
担架に降ろされるとその有無を言わさず連れていかれた。
「イザーク補給かね?」
「ゲートを二つ落としました。今度は中で暴れてきますよ。」
「足つきがいるせいか、メインゲートがまだ破れずにいる。できれば君にはそちらを応援してもらいたいが・・・。」
「ありがとうございます!!」