第8章 デペンデンス
傷がほとんど回復し、本国へと旅立つ準備をし終え、シャトルへと向かう。
向かう途中、イザークが待ち伏せていた。
「俺もすぐにそっちへ行ってやる。貴様などが特務隊とはな。」
アスランは荷物を降ろし、腕を差し出す。
「色々とすまなかった。今までありがとう。」
二人は握手を交わした。
「シシアのことなんだけど・・。彼女も知らなかったんだ。支えてあげてほしい。」
「知るか!俺には関係のないことだ。」
「イザーク、ナチュラルってだけで嫌うのは・・」
「俺たちは今ナチュラルと戦っているんだぞ!!」
「イザーク・・・。よく考えるんだ。最後まで喧嘩はしたくない。じゃあ。」
シャトルの搭乗の時間もあるため話を切り上げる。
つくづく自分もずるいと思う。
心配だと言いながら他人に任せているのだから。
シシアに対しての自分の気持ちがわからない。
感じ始めていた違和感はナチュラルだったからだろうか。
ナチュラルは嫌悪する存在であるというのに。
いつの間にかモビルスーツデッキにたどり着いていた。
イザークの機体の横にシシアの機体が並べられている。
苦々しい気持ちで近づく。
「なっ・・・!」
身体中に包帯をしながら、整備をするシシアが見えた。
「あいつ!何を!!」
急いで向かおうと思ったが、あいつはナチュラルだ。
たぶらかされていたと思うと怒りがこみ上げ、そのまま無視することにした。
「クルーゼ隊長!!」
戻ろうとした時にクルーゼとすれ違った。
「その・・なぜ彼女がデッキに・・?」
「彼女・・?ああ、シシアのことか。早く戦場に戻りたいと言うのでな。無理しない範囲で認めた。」
どう見ても瀕死だ。
しかし、自分には関係がない。
そのまま自分の部屋に向かう。
どうなろうが知ったことではない。
シシアは狂ったように働いていた。
今度こそ、完璧な状態で戦場に出るために。
「あなたの中が、私の居場所・・。私の、唯一の望み・・。」
それを叶えてくれるもの。
狂っていると言われても、止まるわけにはいかなかった。
私が私でいられなくなってしまうから。