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世界は変わらないと知っていても

第7章 噛み合わない歯車


人工呼吸器は外れたものの、まだ痛々しい傷を残すシシアがゆっくりと動くのをやんわりと手で制す。

「君は・・・、ザフトを抜ける気はあるかね?」

「隊長・・・?」

もう戦士として戦うことができないのだろうか。
それほどに傷が深いのだろうか。

「君の遺伝子の検査結果だ。」

クルーゼの持っていた端末から、データが映し出される。

「君はコーディネーターではない。ナチュラルだ。」

彼は何を言っているのだろうか。
コーディネーターでないはずがない。
だって、私の父と母は・・・。

「君の傷の治りが遅いため、何かあるのではないかと検査した結果だ。」

「そ、そんなはずは・・。だって、私のお父様は?お母様・・は?」

痛みも忘れて自分の体を抱きしめる。
しかし、同時に笑みがこぼれた。
だから私はクライン家で浮いていたのだと。

「私は君の意思を尊重するよ。」

それだけを言い残し、クルーゼは去っていった。

「騙していたのか?」

今まで黙っていたイザークが口を開く。

「ナチュラルだったんだな。」

彼は蔑みの目で見下ろす。
シシアは無言を貫く。

「それが答えか。反吐が出る!お前は・・!!」

「イザーク!!」

思わずアスランが止めに入る。

「クルーゼ隊に残るのは構わない、だが一生俺に関わるな!!!」

そうか、誰も私を受け入れてくれないのだ。
やはり私は一人なのだ。

「イザーク!!お前!何を言ってるんだ!」

「うるさい!!俺たちはナチュラルと戦ってるんだぞ!俺たちを騙し!紛れ込んで、仲間のような顔をしてずっと一緒にいたんだぞ!!!」

「でも!シシアは俺たちの仲間じゃないか!」

イザークはきっと睨みつけ、乱暴に扉を開け出ていった。

「シシア・・・。何かの間違いだ、・・」

「いいの、アスラン。やっと納得できたから・・・。ごめん黙っていて。」

それ以上会話をしたくないと口をつぐむ。
そんなシシアを見てアスランも口を閉ざした。
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