第7章 噛み合わない歯車
「シシア!!!!」
再び目を覚ますとそこにはイザークがいた。
「い、イザーク・・・。」
ポロポロと涙が溢れる。
「に、ニコルが・・・。」
「ああ、ああ、わかっている・・。お前はとにかく自分の体を休めることだけ考えろ。」
彼女の手を握る。
驚くほど冷たく、死んだニコルを思い出しゾッとする。
「寝ていろ。」
人工呼吸器に繋がれている彼女が痛々しい。
「みんな・・は?」
「今は夜中だ、みんな寝ている。」
シシアは嘘だと直感した。
でもこの嘘が優しだと感じたから黙っていた。
ゆっくりと目を閉じ、再び眠る。
「ああ、目が覚めたか。」
いつの間にか軍の病院のベットで寝かされていた。
「シシア・・・。」
声のした方を見ると、そこにはアスランもベットで寝ていた。
「アスラン・・。怪我・・?」
「ああ・・・・。ニコルの仇はとったよ・・。」
ちっとも嬉しそうじゃない。
それはそうだ。
友人を殺したということだから。
「アスラン・・・。」
「再会を楽しんでいるところすまないが、色々と報告があるのでな。」
クルーゼの後ろにはイザークがいた。
「まず、アスラン。辛い戦いだったが、ストライクを倒したこと、本国でも高い評価がされているよ。君にはネビラ勲章が授与されるそうだ。」
「勲章・・・。」
アスランはその言葉を噛みしめる。
親友を殺して勲章をもらうのだ。
「私としは残念だが、本日付で国防員会直属の特務隊へ転属との通達も来ている。」
「そんな!!!」
「トップガンだな、アスラン。気には最新鋭の機体のパイロットになる。その機体の図漁のためにも、即刻本国へ戻って欲しいそうだ。」
シシアもイザークも黙って彼の話を聞く。
「お父上が、評議会議長となられたのは聞いたかね?」
シシアの顔が曇る。
度重なる被害のせいでパトリック・ザラの支持率が上がったのだ。
「ザラ議長は、戦争の早期終結を切に願っておられる。本当に早く終わらせたいものだな、こんな戦争は。その為にも、君もまた力を尽くしてくれたまえ。」
一通り話し終えたクルーゼはシシアに向き直る。
「私の隊に残ったのは君とイザークだけになってしまったな。」