第7章 噛み合わない歯車
ニコルは死亡。
シシアはなぜか血が止まらずに、生死をさまよっている。
「おかしい、なぜ止まらない・・?」
「何か遺伝子的な疾患があるのか?」
「ありえるな・・・。」
そんなやりとりをガラス越しにイザークは見つめていた。
治療に必要な部分だけ血を拭き取られ、まだ半分パイロットスーツを着、べっとりと血がついていた。
規則正しく胸は上下しているのに。
どうして目が覚めないのか。
「おい・・・。心配なのはわかるが、体壊すぞ。」
ディアッカがコーヒーを差し出す。
「またすぐ戦闘になる、今休んでおかないと、お前まで死んじまうぜ。」
「わかっている!!!」
イザークが顔を歪める。
「なら休んどけよ。」
ディアッカはひらひらと手を振りながら部屋に戻っていく。
「シシア・・・。仇は俺が打つ。俺の傷も、ニコルも・・。お前も・・・。」
周りで慌ただしく動き回る気配を感じる。
「・・・さん!シシアさん!!先生!目をさましました!!」
ああ、ここは医務室かとぼんやりと考える。
「やっと目が覚めたか!君はどこでどうなったか理解しているかね?」
言葉をはっそうとしたが喉がカラカラで言葉が出なかった。
理解した助手が水を口に運んでくれた。
「み、みんなは・・・?ニコルは??」
喋るたびに体に激痛が走る。
「残念だが助からなかった。そして君の隊はまた戦闘に出た。」
そんな!そう言いたかったのに、言葉が出なかった。
「バイタルはまだ不安定なんだ。もう少し体力が戻ったら君を基地に輸送する。それまで安静にしておくんだな。あと・・。君のデータなんだが・・・。その、君の隊長・・・クルーゼ体調に渡しておいた。」
それだけ言うと気まずそうに皆でていった。
なぜ、私のデータが隊長に渡したのか。
それよりも。
「ニコル・・・」
ニコルが死んだ?
理解できない。
どうして?
「ニコル・・・・・?」
目線だけを動かすと、横に、白い布をかぶった何かがおいてあった。
頭部と思われる場所から、緑色の毛が見えた。
「あ、ああっ・・・ああ!!!!!!!」
「ちょっと!!じっとしてください!!」
守れなかった。
私より年下の彼。
誰よりも優しかった彼。
間に合わなかったのだ。
「あなたまだ容態は安定していないんですから!!」
全身に激痛が走り、また意識を失う。
