第7章 噛み合わない歯車
その後、アークエンジェルはオーブから離脱したとオーブ政府から発表された。
「こんな発表、素直に信じろっていうのか!」
「足つきはすでにオーブから離脱しました。なんて本気で言ってんの?それで済むって、俺たち馬鹿にされてんのかねぇ。やっぱ隊長が悪いからかな。」
「ディアッカ!そんな言い方・・シシア?」
「え、ああ・・・。なんだっけ?」
ぼうっとしていたシシアを心配そうに見つめるニコル。
「お前・・・。」
つかつかとイザークが歩いてくるとおでこに手を当てる。
しかしその手を払いのけた。
「シシア?熱のがあるのか?」
心配そうにアスランも寄ってくる。
「なんでも無いわ・・・。」
「なんでも無いわけないだろう!」
イザークはシシアを連れ出し医務室へ向かって行った。
「熱が出ていますね、そのほかは特に何もありません。まぁ、ゆっくり寝ていれば治るでしょう。」
医療班からはそれ以上言われることはなかった。
大したことがなかったのだろうとイザークがほっとする。
「いいか?休んでおけ。あとでまた様子をみにくる。」
部屋に連れてかれ寝かしつけられる。
頭がぼうっとして何も考えることができず、頷いた。
イザークが出て行ってほっとする。
そして、そんな自分に驚いた。
それにしても、どうして自分はこんなにも体が弱いのだろうか。
「起きたか?シシア?」
穏やかな声が聞こえる。
「イザーク・・・?」
「ああ、何か食べられるか?」
正直まだ体がだるい。
「果物ももらってきたから、それだけでも食べろ。」
素直に渡されたものを口に運ぶ。
「明日、オーブに潜入する。」
「明日・・?」
「ああ、こちらも圧をかけているが埒があかない。ザラ隊長の名案さ。」
「ふふ、協力してあげないと・・・。アスランも頑張ってるんだから・・。」
イザークがシシアの隣に座り顔を寄せる。
「ダメよ・・熱が移るわ・・・。」
「風邪じゃないんだ。大丈夫だろ。」
優しい、触れるだけのキスをする。
不意に寂し支さがこみ上げてきて、離れていくイザークを掴む。
「シシア・・?」
ウルウルと瞳に涙が溜まってくる。
「行かないで・・・。わたしをひとりにしないで・・・・」