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世界は変わらないと知っていても

第1章 分かれ道


少しだけピンク色のはいったドレスを着たラクスはまさにお姫様だった。
チュールをたくさん入れふんわりさせる。
たっぷりとレースを使いわかりやすい模様はないものの、さみしくはない。
髪はハーフアップにし、ダイアモンドでできた髪飾りがキラキラと光る。

白いレールがあしらわれたヒールに足を通す。
誰もがうっとりしてしまう。

それに比べて、やせ細った白い体。
黒に近い紺で明かるところでないとまるで闇のよう。
人みは金色でまるで人間ではないみたい。
目立たないように、クリーム色のドレスを着る。
長い髪は全て結い上げる。 
デコルテ部分には控えめに二重のパールのネックレスをする。

「お父様・・。」

「綺麗だよ、ラクス。」

「ありがとうございます!シシア・・・!」

「ラクス・・・・・。」

少しだけ気まずい雰囲気が流れる。
シシアの表情が固いからだ。

「緊張しているのですか?」

おめでたい日に姉に突っかかるほどわかりが悪いわけではない。

「・・・・・おめでとう。」

「シシア!!」

嬉しそうにラクスが抱きついて来る。
ゆっくりとシシアも背中に手を回す。

「ありがとう、シシア!」

満面の笑みだ。
ちくりと心が痛む。

「もう行かないと・・・。」

「まぁ!こんな時間!!」

会場に人が集まり始め、もうそろそろ始まる時間だ。

「では、また後で・・・!」

父をラクスを見送り、そっと会場に入場した。

苦手な雰囲気。
私には似合わない華やかな場所。

壁際のカーテンの隅に隠れるように立つ。
パーティーが始まってしまえば適当に変えれば良い。

「お待たせいたしました。今夜は二人の婚約のパーティーに来てくれたこと、感謝する。」

パトリックザラが挨拶をする。
そして二人が入場した。
ラクスは天使のような笑顔で、アスランは少し照れたようにしている。
初々しいカップルだ。

二人の姿を見てどきんとする。
ちゃんとアスランが好きだったのだ。
どうしてもラクスが私の大事なものを奪って行くようにしか見えない。
父の愛、世間からの愛、歌、好きだった人、何もかも・・。

視界が霞、バルコニーに出た。
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