第1章 分かれ道
「婚約ですか??」
「ああ。ラクス・クラインだ。」
「ラクス・・・。」
「不満か?」
「いえ!!そうわけじゃなくって・・・。」
クライン夫人がなくなってから、一度もシシアに会っていない。
そしてそのまま姉のラクスと婚約というのがどうにもきまずい。
「婚約パーティーもやるからな。準備しておけ?」
「え?いつですか??」
「来月だ。レノアも来る。」
「わかりました。失礼します。」
うむ、という父の声を聞きながら退出する。
憧れの女性と婚約したという事実と、シシアを捨てたような申し訳に揺れる。
「ラクスが婚約?」
「はい!この間聞きまして、正式にということということで報告しにきました。」
婚約、女の子にとってあこがれる部分もある。
「この前、アスラン来てくださって。ふふふ、オカピを直してくださいましたの。」
こんなに無邪気に話す子を誰が嫌いになるだろう。
「そう・・・。」
「婚約パーティーきてくださいね・・。私のたった一人の妹なのですから・・・。」
自分とてクライン家の一員ということは自覚している。
行くしかないだろう。
アスランとは始まってすらいないのだから。
何も後ろめたいことはない。
「い、イザーク・・・。」
「母上??」
「ラクス・クラインとアスラン・ザラが婚約ですって・・・。あなたの方が年上なのに・・・・。」
母はかなり悔しがっているようだ。
それもそのはず、イザークにと密かに彼女が考えていたからだ。
女なんてめんどくさいと考えているイザークにとって婚約なんて話頭を抱えたくなる。
母が暴走しなければいいが。