第6章 地球へ
初めは痛いと聞いていた。
だからぎゅっと力を入れた。
彼は恍惚の表情でじっと見つめてきた。
思わず顔を隠した。
彼は恥ずかしがっているのだと感じたようだ。
電気を落とし、わずかな表情しか読み取れなくなった。
シシアの瞳から涙が溢れ出した。
彼は気づかない。
なぜかとても悲しくて、苦しくて、怖かった。
「シシア・・・。」
シシアとは対照的にイザークは甘く名前を呼ぶ。
彼に手を伸ばす。
怖い。
幸せが怖い。
「あっ・・・・。」
彼と一つになる。
幸せと不安が一気に押し寄せる。
このまま永遠になってしまいたい。
「イザーク・・・。」
名前を呼べばキスをされる。
彼に求められる。
私が。
お互いに会話はなく、静かに、濃密な時間が流れる。
この痛みがなければ、私はこの幸せに酔い狂っていただろう。
初めての行為のこの痛みが、まるで罪のようだった。
だから正気を保てた。
高いベットはきしまず、彼の息遣いと水音だけが部屋に響く。
「愛している・・・。」
心から愛おしそうに私を抱きしめる。
この温もりがいつか無くなるのだろうと漠然と感じていた。
だから、彼に全てを見せてはいけない。
そうすれば傷つかずにいられるだろう。
「んっ、いっ・・。」
彼の動きが早くなる。
痛みと、快感が押し寄せる。
こんなにも苦しいのに、こんなにも幸せなのだ。
涙はとめどなく溢れる。
「イザーク・・・・。」
「ああ・・・。シシア・・・、愛している・・!」
「あっ・・!あ!!」
彼が中で果てたのを感じる。
この幸せな時間が終わるのが怖くて、ぎゅっと力を込めた。
「シシア・・。」
彼は私にたくさんの口づけをする。
そこでやっと泣いているのを知られてしまった。