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世界は変わらないと知っていても

第6章 地球へ


「痛かったか!?」

焦り出すイザーク。
急いで私を楽な体勢にし、毛布をかける。

「シシア・・。」

その上から優しく抱きしめられる。

「すまない・・・、悪かった・・。」

「ち、違うの・・・。幸せで・・・。」

半分嘘、半分本当・・・。

「シシア・・・。」

嬉しそうにイザークがもうちど抱きしめる。
それ以上泣いていることを知られなくて、彼の胸に顔を埋めた。
イザークは満足そうに私の頭を優しく撫でた。

そして、知らないうちに二人は眠りに落ちたのだった。


それ以降、イザークは私の体を気遣い、行為に及ぶことはなかった。
彼の態度も変わることはなかった。
いや、前よりも甘くなったかもしれない。

だが、今は恋愛にうつつを抜かしている場合ではない。

「どうですか!!調子は!!」

「なんとなくコツは掴みました。」

「良かったです!!」

適当な整備兵だ。
シシアは専用機がないため、バクゥを支給されていた。

「あー、あー調子はどうだ?」

「バルドフェルド隊長!」

隊長機らしく、オリジナルのパイロットスーツに身を包むバルでフェルドから通信が来た。

「実戦経験が少ないそうだが、大丈夫か?向こうは手練れだぞ。」

「わかっています、邪魔になるようなことはしません。」

「へぇ、君はあの二人よりは立場がわかっているようだ。」

少し小馬鹿にしているようだ。

「悪気はないんです・・・。冷静になれば素晴らしいパイロットです・・。」

「その冷静さが戦場では必要なんだがね。」

それ以上は何も言えなかった。

「シシア・クライン!バクゥ、出る!!」

機体が出せる最高速度で砂漠に突っ込む。
重い・・・。
これが地球。
このGに皆耐えているのか。
体を保つので精一杯だ。
しかし、隊列を崩すわけにはいかない。

「ついてきてるか?お嬢さん!!」

「無理しないで。」

「いけます!!三時の方向にストライク発見!これより戦闘を開始します!!」
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