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世界は変わらないと知っていても

第5章 崩れる均衡


ナタルの腕からラクスを奪い通信機を蹴り飛ばす。

「最後に移ったのはシシアか?」

通信は一方的に切られた。

「格好の悪いことだな、援護に来て不利になったらこれか。」

「隊長!!」

「ああ、わかっている。全軍攻撃中止だ。」



「よくも!!恥ずかしくないのか!!!民間人を巻き込むなど!!」

「シシア・・・・。」

「黙れ!ここで沈むわけには行かないんだ!」

黒髪の女性に銃を向けられる。

「シシア・・・。傷が・・・。」

やっとのことで血が止まっていた右肩から血がにじむ。

「大人しく戻るんだな。誰か!ラクス嬢を部屋へ!!」

ハロの音だけが無機質に響く。


「ガモフの位置は?どのくらいで合流できる?」

「現在、6マーク、5909イプション、0,3です。…合流には、7時間はかかるかと。」

「それでは手を打つ前に合流されてしまうか、難しいな。」

あちらにシシアもいるとは。
しかし皮肉なものだ。
姉妹であるというのにその姉しか安否が心配されていない。

「怪我をしていたな。」

「は?」

「シシアだ。」

「珍しいですね。そんなに気にかけているなんて。」

少し探るようにアデスが尋ねる。

「私の大事な部下だよ。気にかけるのは当然だ。」

普通の答えを返される。
それ以上は追求できなかった。


熱が下がらない。
痛い・・・。
麻酔も切れ、激しく肩が痛む。
悪い人ではないのだろうということは薄々感じ取っていた。
ここのクルーはみんな甘い。
隙をつけば脱出できそうだ。
なに・・・。
また戦闘?
何か騒がしい。


「お、お嬢ちゃんは置いてかれたの?」

しばらくしてから金髪の男がやって来た。

「そういえば自己紹介していなかったね、ムウ・ラ・フラガだ。」

「エンディミオンの鷹・・・・。」

「ラクス・クラインはストライクのパイロットが返しちゃった。」

「そうですか・・・。」

驚きはあるが、姉は民間人だ。
これで良い。

「ありがとうございます・・・。」

「お、やけにしおらしいじゃない。まぁ、君も返還しようかなって。すぐそこにクルーゼいるみたいだし。」

不思議そうに彼を見つめる。

「あなたは隊長に似ているわ・・・。」

「お、やっぱザフトだったね。まぁ黙っとくよ。これ着替えれる?」
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