第5章 崩れる均衡
「またここにいなくてはいけませんの・・・」
「ええ、そうですよ。」
「つまりませんわ・・・。私も皆さんとお話ししたいのに。それとシシアとも。」
「これは地球軍の船ですから。シシアさん?はロウから出さしてもらえないだろうし・・・。それにコーディネイ他のことを、その、好きじゃないって人もいるし・・・。」
さっきの言葉が胸に残っているのだろう。
キラが苦しそうに俯く。
「でも、あなたは優しんですのね。ありがとう。」
大きく目を見開き、また悲し蔵に下を向く。
「僕も、コーディネーターですから・・・。」
そう吐き捨てると、ラクスの部屋を後にした。
暑い・・・。
熱が出ている。
コーディネイターのはずなのになぜか昔から体が弱かった。
もう治ったと思ったのに。
あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
どうしてだろうか、クルーゼ隊長が来ている気がする。
「イザーク・・。」
弱っているからか、彼がとても恋しい。
戦闘・・・・?
心なしか爆発音が聞こえる。
だめだ、ラクスの元に行かなければ。
だが牢をこじ開けるほど怪力はない。
髪の毛の編み込みに仕込んでおいた金属の爆弾。
「よし・・・。」
バン!!と大きな音を立てて鉄格子が弾ける。
「どこ・・・!」
右肩を押さえながら走る。
「こっち来なさい!!!」
「まぁ!どうなさったのですか!!!」
ラクスの声だ。
もう一人の女の子声はどう見ても好意的ではない。
ラクス!!
「この子を殺すわ!パパの船を売ったらこの子を殺すって!そう言って!!」
悲痛な声だ。
だが同情はしない。
次の瞬間大きな光が宇宙に広がる。
「ラクス!!」
急いでラクスを追う。
「いやぁぁぁぁ!!!」
「バジルール少尉!!」
「ザフトに次ぐ!こちらは地球連合艦隊、アークエンジェル!当艦は現在、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している!」
「足つきからの全集は放送です!」
「ラクス様!?」
「偶発的に救命ポッドを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、それは貴官のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることを、お伝えする!」
頭に血がのぼるのがわかった。
民間人の姉を利用するなんて。
