第5章 崩れる均衡
「ラクス、脱出する・・・。」
「皆さんは!?」
「貴方が第一優先なの。」
ベルトでラクスを固定させる。
これで振り回されようが頭を打ったりすることはないだろう。
「幸いここはデブリが多いから。紛れて逃げられる。空気は四時間しか持たないけど・・・。」
「まぁ・・・。」
ゴォんという大きな機械の後、大きく脱出艇が揺れる。
シシアは心の中で祈った。
移動している・・・。
ザフトが来てくれたのか、それとも・・。
「まぁ、止まったみたいですわ。行きましょうシシア?」
待ってと止めようとした時、ハッチが開く。
「ご苦労様です。」
何の疑いもなくラクスが外に出てしまった。
あまりのことにベルトがうまく外せない。
「まぁまぁ、これはザフトの船ではありませんのね?」
ばか!!
体が弾いたように動き、素早く銃を構えながらラクスを背にかばう。
地球軍!
その制服はどう見てもザフトのものではなく、誰もが銃を向けていた。
「銃を下ろしなさい!!」
「そう言われてもよ、君だって構えているじゃん。」
隊長?
なぜか一瞬被って見えた。
「下ろしなさい!!!!」
「まぁまぁ、シシア・・。」
ラクスが少し動いた時、それに反応した誰かが発砲した。
ラクスを守るために盾になる。
それは右肩を貫いた。
「おやめください!!私はラクス・クラインですわ。」
「クラインね、確かプラントの現最高評議会議長もシーゲル・クラインと言ったが?」
まずい、まずい。
何でベラベラと喋るのか。
「あら!シーゲル・クラインは私の父ですわ。私共、ついという慰霊団の視察で来ていましたの、そしたら地球軍の方と揉め合いになってし・・・」
「ラクス!!!」
どうしてそうも喋るのか。
「大丈夫ですわ、シシア。私たちそれで救命ポッドで脱出したのですわ。シシアの手当を誰か・・。私達は争いにきたのではないのです。」
「ラクス黙って。」
敵に命乞いなんて冗談じゃない。
「ふーん、なるほどね。で、君は?」
金髪の男が私に銃口を向ける。
「シシア・・・・ウーム。」
母の旧姓を名乗る。
「君はザフト?」
ザフトといえばややこしいことになる。
「私は今回ラクスの護衛として雇われたものだ。」
「なるほどね。ピンクのお姫様はともかく、君は拘束させてもらうかな。」