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世界は変わらないと知っていても

第4章 ヘリオポリスの悲劇


ヘルメットを脱ぐと絹糸のように細い髪が宙になびく。
戻ってきた。
他のみんなはうまく奪取できただろうか。

「シシア。」

「イザーク。」

イザークは抱きしめると、後ろにディアッカやニコルがいるにもかかわらずキスをする。

ディアッカがからかうように口笛を鳴らす。

「クルーゼ隊長が出てるみたい・・。」

恥ずかしくてそっと距離を取りながら話をそらす。

「ああ、一機敵に渡ったらしい。」

「そう・・・。」

『クルーゼ隊長機帰還。被弾による損傷あり、消化班救護班はBデッキへ』

「クルーゼ隊長が???」

イザークの言葉と同時にシシアがモビルスーツデッキに向かう。


「隊長!!」

「シシア・・。私にけがはないよ。」

急いで向かったため、クルーゼに受け止められる。

「でも・・・隊長が被弾するなんて・・・。」

「やっかいなものを作ってくれたな、連中は。」

その受け止めたままの距離で会話が始まる。
続いて向かっていたイザークはその光景を気に入らなさそうに見ていた。

「しかし、報告にない機体を奪取するとは。よくやった。」

クルーゼはシシアの頭を優しく撫でる。
シシアは褒められたことが嬉しく、控えめに微笑んでいた。


「D装備だって。」

「でも、そんなことしてヘリオポリスは・・・・。」

「しょうがないじゃない?」

「自業自得です。中立とかいっといてさ。」

「イザーク・・・・。」

「シシア?どう考えてもそうだろ。」

「住んでた人はそんなこと知らないわ・・・・。」

イザークはふわりと彼女を抱きしめる。

「そんなことでいちいち気に病んでいたらこの戦争生き残れないぞ。」

確かに彼の言うとおりかもしれない。

「なんだか心がざわめくの。取り返しのつかないことをしているんじゃないかって・・・。」

シシアはイザークの赤服をぎゅっと握った。
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