第4章 ヘリオポリスの悲劇
「地球軍の新型??」
「そう、ヘリオポリスで組み立てているみたい。それでカレッジの学生にも開発を内緒にしてやらせてるみたい。」
「これだからナチュラルは。何が中立だ!」
イザークの物言いに少し傷つく。
シシアはナチュラルを憎んではいない。
自分の親、祖母、辿ればナチュラルなのだから。
「でも・・。中立の国だから、コーディネイターだっているわ。」
優しいなとイザークに頭を撫でられる。
私は優しいのだろうか。
「おいおい、いちゃつくなよ。さっきも抱き合っちゃってさ。見せつけてんの??」
心なしかアスランも頷いている、気がする。
「まぁまぁ、それで?」
一番年下のニコルが一番冷静だ。
「コロニーに潜入して機体の奪取。」
「は?」
「それが次の任務。新人赤服の・・。」
心配そうにシシアが皆を見渡す。
「お前ができたんだ。俺たちもできる。」
イザークが心配するなと顔を背ける。
「でも、そんなことしたら・・・」
ニコルの顔が曇る。
「被害は最小限に抑えれるといいね。」
「そんなの無理だよ。で?何機あるの?赤服全員分あるわけ?」
「少なくとも四機はある。私も奪還作戦には参加する。直接モビルスーツに乗るのは赤服よ。」
「ふーん。早いもん勝ちだね。」
今まで黙っていたラスティーが眠そうに口を開いた。
この後の悲劇なんて誰も想像していなかった。
「そう難しい顔をするなアデス。」
「はっ、いえしかし・・・。評議会からの返答を待ってからでも遅くはないので」
「遅いな。シシアとも話したが今ここで動かねば、いずれ我らの命で支払わなければならなくなるぞ。」
クルーゼ隊長はシシアをかなり頼りにしている。
噂のように愛人であればもっと楽なのに、二人の関係は謎だ。
「時間だな。」
「ヴェザリウス、発進する!」