• テキストサイズ

世界は変わらないと知っていても

第4章 ヘリオポリスの悲劇


見られた。

「ごめんなさい、うるさかったですよね。」

ぺこりと頭を下げると彼は去って行った。
今のはなんだったのだろうか。
たまにクルーゼ隊長にも感じるものがある。

「見られちゃった・・。」

せっかく下ろした髪をひとふさつかむ。
レノアが綺麗だと言ってくれたから、伸ばしていた。

「せっかくだし美容院にいこ・・・。」

その日シシアは腰まで伸びていた髪の毛をバッサリ切った。


「シシアがどこにいるか知らないか?」

同期で集まっていた赤服たちにイザークが尋ねる。

「シシアは潜入捜査だ・・・。」

アスランが暗いトーンで答えた。

「え?どこに??」

ディアッカは相変わらず緊張感がない。

「ヘリオポリスだ。」

「ヘリオポリスって中立国のコロニーじゃないですか。」

ニコルが驚いたように声を上げる。

「なんでそんなとこに!?」

その時、館内にアナウンスが流れる。

『シシア・クライン帰投。ハッチ開きます。シシア・クライン帰投。ハッチ開きます。』

そのアナウンスが終わらないうちにイザークはハッチに向かう。

「シシア!!」

青いワンピースに身を包んだシシアが小型機から降りてくる。
何気に私服のような格好をした彼女を見たことがなくて胸がときめく。

「イザーク」

柔らかな笑みを浮かべ、抱きついてくる。

無重力空間で二人は抱き合いながらくるくると回る。

「どうしてそんな格好してるんだ?それに髪!」

「ええ、とりあえず報告に行かないといけないから、また後でね。」

シシアはイザークの元から離れ隊長室に向かった。

報告が終わるのを赤服全員が待っていた。
シシアとともにクルーゼが出てくる。

「おやおや、聞きてくて仕方がないようだ。」

「クルーゼ隊長?」

「改めて報告するが、シシアから話をしておいてくれたら助かる。」

ポンと肩をたたくとクルーゼはあです艦長と話をするためにブリッジへと向かった。

「へぇー、可愛いじゃん。」

「ディアッカ!そんな言い方・・。でも似合ってますよ。」

私服を着ているのが珍しいのか口々に意見を言われる。

「おかえり」

アスランがぎこちない笑顔を見せる。

「ええ」

シシアもそれに対し冷たい反応を見せた。
/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp