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世界は変わらないと知っていても

第3章 ザフトへ


楽しそうに傍観していた周りがざわめく。
女はナイフを持っていたのだ。

「何のつもりですか?」

そこまで恨まれることをした記憶はない。

「うるさい!!」

最下位だから、油断しているのだろう。
まっすぐこちらに向かってくる。

シシアは最小限の動きでそれをよけ、とんと彼女の腕を叩く。
すると力が抜けたようにナイフを落とし、自身も崩れていった。

「失礼します。」

何が起きたか理解できない彼女はさっていくシシアの背中を見つめていた。

『隠す必要はない』

そう彼が言ってくれたから。


「シシア!!!」

「イザーク・・・?」

「ナイフで襲われたって!怪我は!!??」

まさか心配されるとは思っていなかった。
あのサバイバル戦のあと、交流はほとんどなかったからだ。

「大丈夫よ・・・。」

言葉を言い終える前に抱きしめられる。

「イザーク??!」

「危なっかしんだ!お前は!!」

怒られているのだろうか。

「ごめん・・ね?」

彼は苦しそうな表所を見せると、両手でほおを包みキスをした。

深く、何度も角度を変えて口づけをする。
今まで味わったことのない刺激でクラクラする。
息ができなくて、力が抜けて行くようでがくんと体が落ちそうになった時、強く腰を支えられる。

「まったく・・・。」

呆れたようにイザークが吐き捨てる。
こんな風にしたのは彼なのに。

「好きだ・・・。お前を死なせたくない。」

「イザーク・・・・。私は・・・。」

シシアが目を伏せる。
イザークは何となくその言葉の続きがわかってしまった。

「言わなくていい・・・・。」

「ち、違うの・・・。私、好きだなんて言われたの初めてで・・・。どうしていいかわからない・・・。」

「シシア・・・」

初めてと言う言葉にイザークの胸が高鳴る。

「待つから。いつまでも・・・。」

彼女の細い体を優しく抱きしめる。

穏やかなイザークとは違い、シシアは複雑な顔をしていた。
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