第3章 ザフトへ
四人、1日で三分の一を失ってしまった。
何よりディアッカがいなくなったのは大きい。
まさか仲間に撃たれるとは。
エルはまだ目立った動きをしていない。
シシアはなぜか良い動きをしているためまだ助かっている。
「いいか、明日まとめて話す、だから今日は寝ておけ。」
ココアとエルは何も言わず眠りについた。
何も言う勇気がなかったのだろう。
すぐに寝息が聞こえた。
「お前も寝とけ。」
隣に座っていたシシアに話しかける。
「少し水浴びしてくるわ。」
それがトイレだと思ったイザークは、適当に返事をして明日どうするかを考え始めた。
が、遅すぎる。
心配になり、申し訳ないが二人を残して、彼女が消えていった方に進む。
そこに薄着で佇むシシアがいた。
トイレではなく、水浴びを本当にしていたみたいだ。
柔らかでどこか寂しい旋律を奏でている。
ゆっくりと彼女がこちらを振り返る。
いけないものを見てしまったみたいで目をそらす。
「イザーク?」
透き通る高い声で名前を呼ばれる。
目を逸らしながら彼女の方へと歩く。
「遅かったから、何かあったのかと思ってな。」
ぶっきらぼうに言いはなつ。
「ごめんなさい。」
しおらしく謝られるので調子が狂う。
「いつまでも水に使っていたら体が冷えるぞ。」
そばにあったタオルを持って彼女の頭を包み込む。
まただ、彼女の瞳にとらわれる。
何もかも見透かされてしまいそうで、なのに目をそらすことができない。
彼女の手に触れた時、思った以上に冷えている体に驚愕して我に帰る。
彼女を抱き寄せ、体を温める。
「あったかい・・・・・。」
彼女が吐息交じりにつぶやく。
「私を抱きしめてくれた人はみんな死んでしまった。」
「ラクス嬢や父親がいるじゃないか。」
その言葉に彼女は困ったように微笑んだ。
「ここにも・・・いる・・・。」
自分でもなんと恥ずかしいセリフを言ってしまったもんだと思う。
シシアは驚いたような顔をした後、嬉しそうに微笑みそっと胸に体を預けた。