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世界は変わらないと知っていても

第2章 母の思いで


「すごいな・・・。料理できるんだな・・・。」

「家にずっといたから・・。」

大きな肉の塊の表面に焼き色をつける。
その間に大きな鍋を用意する。
ローストビーフを作る気だ。

「レタスちぎってくれる?」

アスランにも手伝ってもらおうと簡単な作業を頼む。

大きなキャベツを一枚一枚はがしていく。
アスランがロールキャベツが好きと聞いていたからだ。
タネを作るためミンチ肉をこねる。

「手際がいいね。好きなの?」

「うん、何も考えなくていいからね・・・・・。これこうやってふるって。」

同時にデザートも作り始める。
レノアが喜ぶ顔を想像すると自然と顔がほころんだ。

「ただいま〜」

レノアが帰宅する。

「おかえりなさい。初めまして、アスラン・ザラです。」

母とその後ろにいた同僚に挨拶をする。

「シシアは?」

「料理を並べてるんだ。いっぱい美味しそうなの作ってくれたよ。」

レノアたちがリビングへと向かう。

「おかえりなさい!」

ちょうど並び終えたシシアが玄関に向かう途中だった。
職場の人たちとも挨拶を交わし賑やかなパーティーが始まる。
アスランは正直こう行ったことが苦手だ。
だが、母の知り合いだからか、話を聞いているだけで楽しい時間を過ごすことができた。

「ピアノかぁ、小さい頃習ってたのよね。」

女性がふと置いてあるグランドピアノに触れる。

「ちょうどいいわ!シシア、歌上手なのよ。」

「お母さん!」

ラクスと勘違いしているのではと、アスランが止めようとする。
シシアの表情も硬い。

「ね、シシア?」

大好きなレノアのお願いだ。
聞いてあげたいけれど・・・。

「レノアさん・・・。私歌は・・。」

「知ってるわよ。大好きだってこと。聞きたいわ。」

ふわりと笑いかけられる。

「楽譜あったら弾けるわよ。」

「でも、私の曲ってすっごく暗くて・・・。ラクスみたいに可愛らしい曲じゃあ・・。」

「いいじゃない、聞いて見たいわ。」

お酒側まりしっとりとした雰囲気になってきているため、皆静かにこちらをみる。

歌が好き・・・。
歌ってみたい・・・。

隠していた思いが溢れてきた。
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