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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第13章 本編 第27章 ~幕間 其の伍~


「お前が強くなりたいと私に稽古を頼んだ理由と、ポートマフィアに居た事とは、何か関係はあるのか」

福沢の投げ掛けた質問に徳冨は暫しの後に言葉を呟いた

「……すまないが、その問いに答えるのは、難しいな……」

先刻と同じ表情を浮かべた徳冨は言葉を紡ぐ

「俺にも、判らねぇんだ……そうか、と問われればそうかもしれないし、そうでないと言えばそうではないとも言える……だから、どう、なんだろうな……曖昧な回答ですまない」

「……否、そうか」

何処か遠くを見つめる様に小さく笑みを浮かべ、福沢へと視線を向ける徳富の表情は矢張り彼の胸を締め付けるものがあった

普段から徳富が抱いている感情が垣間見えた福沢は複雑な表情を浮かべながらも視線を外し、小さく首を横へと振った

「ただ……」

しかし、続けられた徳冨の言葉に福沢は再度、視線を戻した

「改めて、そう思ったきっかけではあったとは思う……」

徳冨は何処か寂しそうに、そして、儚気そうに笑みを浮かべて呟いた――しかし、次の瞬間には満面の笑みを浮かべると口を付けた飲み物を片手に立ち上がった

「さ、始めようぜっ!」

「……もう善いのか、」

福沢は徳冨を追う様に視線を向けると彼は小さく頷いた

「嗚呼、もう休息は充分だ! もう一度頼むっ!」

既にやる気に満ちている徳冨は片手に持っていた飲み物を床に放り、構えを見せていた

そんな徳富に福沢は目の前の相手に聞こえない程の小さな息を吐いた――しかし、微かに目元、そして、口元を緩めると福沢もまた小さく頷いて立ち上がると彼へと手を差し出した
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