• テキストサイズ

天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第2章 本編 第3章 天命、再びと第4章 一宿一飯の間幕


先刻の部屋へ戻り、紙に筆を走らせようとした福沢だったが、突如、布団が吹っ飛んだ(駄洒落ではなく、本当に)ために、普段、冷静沈着で簡単には表情を変えることの無い彼も、流石に目を丸くさせる

そして、同時に視界に入って来たのは顔を歪める猫の姿だーー

其れは先日、目にしたあの"二又の猫"に善く似ていると福沢は思った

しかし、福沢の鼓膜を揺らしたのは辛そうな、悲しげな鳴き声ーー

その声に福沢は我へと返る

何かにうなされている様に感じた福沢は猫の方へ歩を進めた

「徳冨、」

徐に傍へと寄り、屈んだ福沢はこの部屋を貸した人物の名を呼ぶ

しかし、それは何の戸惑いも、迷いもなく紡がれた名であった

理由は福沢の鼻腔を掠める香りが先日と同様だったから

ーーそれは福沢にとって、この猫が徳冨であると確信するに十分な根拠であった
/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp