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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第11章 本編 第20章 花と紅葉、雪と金色


未だかつてない程の凄まじい勢いで、場所を特定、連絡した田口達は無事に福沢達と合流を果たした

そして、現場へと急行する福沢達は平静を装っている様で、気持ちが急いているのか足並みは皆、知らずの内に速くなっていた

漸く現場へ到着し、この場に居る者達が足を一歩前へと伸ばそうとしたが、血生臭い香りと共に広がる光景を目の前にして福沢達は動くことが出来ず、食い入る様に見つめていた

其処には徳冨が話していたポートマフィアであろうか、黒い服に身を包んでいる者達が何人も折り重なり、血を流して横たわっていた

「ひ、酷いですね……これは、」

一呼吸置いた後に漸く、谷崎が小さく声を漏らす

予想以上の惨劇に言葉を失っていた福沢は奥歯を噛み締めて静かに拳を握り締める

しかし、其処に肝心の徳冨の姿はおろか、国木田達の姿も見当たらなかった

誰しもが徳冨達の姿を探す中、遠方から何者かの影が蜃気楼の様に揺らいで見えた、と同時に戦闘の後に柔くなったと思われる地面に重たくのし掛かる音が響く

そして、静かに姿を現したのは中島の虎よりも小さいが、成猫よりも化け物のように大きく、それに見合う鋭い爪、尖った牙、鋭い耳、風に靡く長毛――更には2つに分かれた尻尾が生えている

しかし、その者は見るに耐えない程の傷を負い、其処から地面に斑点を作りながら滴り落ちている血の量からして、立っているのもやっと、と言った様子である――にも関わらず、鋭い視線で此方を見つめ、姿勢を低くする姿は威嚇の行動なのか、毛並みを震わせて、低い唸り声を上げている

ーーだが、福沢はその者を知っていた

何故ならば、”赤い毛並みの猫を保有している異能者等、この世に1人しか存在しないからだ”

しかし、その者は目前の者達を認識していないのか、背に中島、国木田、宮沢を乗せたまま、福沢達から彼らを護る様に地を這う様な声で唸り、威嚇を続ける化け猫は迂闊にでも近づこうものならば、今直ぐにでも飛び掛からん勢いだった

谷崎は眉を潜めて思わず構えるが、福沢は彼等の前へと手を伸ばして制すると、静かにその者の名を呼んだ
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