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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第9章 本編 第16章 文豪ストレイドッグ


「其処に何が書かれているのか、私には判らない……でも、それは間違いなく織田作の気持ちが籠っているものだろう!? 蘆花ちゃんだって、それをーー」

「そう、だったな……だが、判ってるだろ……? 太宰」

織田は太宰に向けて小さく笑みを浮かべる

「蘆花は、怒ると怖いんだ」

その言葉に目を丸くした太宰であったが、やがて小さく柔らかな笑みを溢したが、その反面、発せられた言葉は何処か弱々しかった

「……織田作には、甘いじゃないか……」

「……そうか?」

「そうだよ、織田作に対して……この世界で1番甘いのは、蘆花ちゃんだと思うよ、」

太宰の言葉に織田は表情を変えずに言葉を紡ぐ

「そう……なのかもしれないな、」

織田はその一言を告げると言葉を切ったが、徐にまた言葉を紡ぎ直す

「先刻、蘆花を医務室に送り届けた……」

織田は最期に見た徳冨の姿を思い出すと思わず頬を綻ばせた

「大きくなったと実感した、随分長く一緒に居て、共に生きてきたからな……出会った頃がとても懐かしく感じた……

 でも、変わらない所もある……蘆花は俺に合わせて辛い物や大人の味に合わせようとするが、実は1番好きなものは甘い物だ、仕事を終えた後に蘆花が必ず食べる菓子は甘いものだからな

 それと、蘆花は一見、言動は乱暴に見える、感情的にもなりやすい……だが、それが正しいと思えば、誰かの言動を素直に聞き入れられる、人に気も遣える善い奴だ、」

「……織田作の自慢話は蘆花ちゃんからいつも聞いていたけど、蘆花ちゃんの自慢話を織田作の口から聞くことになるなんてね」

太宰の言葉に織田は小さく笑みを溢したが、暫しの後に表情を戻すと彼は今、此処に居ない徳冨の事を想っているのか、彼から視線を外しながら言葉を続ける

「……蘆花は我慢強く見えて実は脆い、本当は泣きたいと思っていても涙を堪えていることが多い……それはきっと、誰にも迷惑をかけてはいけないと言う想いが先行して甘えるのが下手だからだろう……だが、太宰も知っての通り、蘆花は寂しがり屋だ

 だから、その時は……何も言わずに、蘆花の傍に居てやってくれ」

織田の言葉に目を見開かせた太宰は彼を見つめる、しかし、彼は笑みを溢したままだ

「俺から見れば、蘆花は……まだ出会った頃のままだからな……だから、誰かが見守り、支えなければならない」
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