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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第7章 本編 第14章 戻れない場所


「何度も教えただろう、哀れな捕虜を切り裂くだけが君の力の全てじゃあない、そうやって防御に使う事も出来る筈だって」

「これまで……この防御に成功した事は無かった……」

芥川は気力を使い果たしたかの様に掠れた声を上げる、初めて成功させた空間断絶で精神力を使い切ってしまったようだ

「でも、今……こうして成功した、目出度いねぇ」

しかし、芥川は浮かない顔をして眉間に皺を寄せる

「次しくじったら、2回殴って5発撃つ……善いな、」

太宰の声色は氷の様に冷たい、芥川も何か言葉を返そうとするが、細められた彼の視線に言葉をのむ

「さてと……死体を調べてみよう、何か出るかもしれない」

「あの……死体の何をお調べしましょう、」

冷え切って止まっていた空間に我へと返った部下の1人が太宰に尋ねた

「全部だよ、アジトの痕跡を見つけ出すんだ」

死体の前に屈み込み、懐を漁りながら太宰は言葉を紡ぐ

「靴底、ポケットの屑、服の付着物ーー全てが手掛かりだ、全く……うちの部下は揃って敵を嬲り殺すだけがマフィアだと思っている」

痕跡を探る為に懐を漁り続ける太宰は現在抱えている部下の現状に嘆く

「この調子だと蘆花ちゃんと織田作だけで解決してしまいそうだ」

「その男達なら、私も知っています」

漏らす様に言葉を紡ぐ太宰の言葉に部下の1人が反応を示した

「マフィアの中にあって人を殺す度胸のない男達、とても太宰さんと釣り合う男達には見えません」

「君の間違えは2つ」

其の言葉に今度は太宰が反応を示す番であった

「釣り合う、釣り合わないに妥協は関係ない、もう一つは……忠告だ、」

太宰は死体の懐を漁るのを止めると怪訝な表情をしていた部下に視線を送った
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