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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第7章 本編 第14章 戻れない場所


「蘆花ちゃんと織田作は怒らせない方が善い……もし、2人が心の底から怒ったのなら、この部屋に居る全員が銃を抜く間もなく殺されるよ」

冷たくも真剣な視線を向ける大宰に皆は忠告を聞き入れように表情を引き締め直す

「ーーかつて、"最恐の二人組"(ペア)と裏社会で名高かった2人に掛かれば、そんなのは朝飯前だ」

しかし、太宰の忠告に部下達の動揺が広がる、だが、彼はそれを予想していたかのように言葉で遮断する

「本気の織田作はどんなポートマフィアよりも恐ろしい……特に蘆花ちゃんなんて、もっと恐ろしいよ……腕は織田作には劣るものの、狂暴性は彼の方が強い、そして、何よりも、少しでも織田作を傷付けた者には誰であれ容赦しない」

淡々と語っていた太宰は徐に瞬きをすると言葉を紡いだ

「もし、蘆花ちゃんを怒らせたらどうなるか……誰にも手が付けられない、それはまるで、そうーー暴走列車だ」

一度俯かせていた顔を上げて、真っ直ぐな視線を向けながら告げる太宰に部下達は言い知れない恐ろしさを感じた

「織田作を傷付けた者を壊すまで、誰にも彼を止められない……もし、止められる者がいたとしても……それはまた、この世でただ1人ーー織田作だけ、だろうね……」

その表情は一瞬だけ綻んだ気がしたが、それは何処か儚さを秘めていたーーしかし、それは直ぐに成りを潜め、太宰は忠告をした部下から中央に居る芥川へと視線を向ける

「そんな彼らに、芥川君……君なんか100年経っても2人には勝てないよ」

「莫迦な、あり得ない……太宰さんっ! 貴方は僕を……」

しかし、芥川は其の言葉を素直に受け取れる筈もなく、間髪入れずに異を唱える

「さぁ、仕事に戻るよ」

だが、太宰も芥川の言葉を被せる様に言葉を発した、それはまるで戯言等は聞かないと言わんばかりにーー

「敵も面倒だけど、早く抗争を片付けないとーー異能特務課が出張ってきて、更に厄介な事になる……」

部下達が太宰の指示に従い、死体へと駆け寄ってゆく中、その場に留まる芥川は奥歯を強く噛み締めた

そして、太宰をあれ程までに言わしめる者達の名を忘れぬよう心に刻み込むーー深く、深く……
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