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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第5章 本編 第12章 たえまなく過去へ押し戻されながら


ーー此処は路地裏

先刻、中島と話していた白衣の中年男性と赤いドレスの金髪少女が歩いていた

「楽しい一時だった、話せはしなかったが、徳冨君にも会えたしね」

「リンタロウ、善かったの? 徳冨は太宰と同じーーー……」

「……善いんだよ、エリスちゃん」

リンタロウと呼ばれた男性はエリスと呼んだ少女に微笑んだ

「武装探偵社 社長の福沢殿は徳冨君に並々ならぬ想いを抱いているようだからね、太宰君とは別の利用価値がありそうだよ」

しかし、少女は首を傾げるばかりだ

「だからってあんなこと言う? リンタロウらしくない」

エリスが言うあんなこと、とは中島達に徳冨を預かると言った件についてだ

「ん~……そうだねぇ……」

リンタロウはエリスに向けて小さく笑って言葉を紡いだ

「目を覚ました徳冨君が私を見てどんな反応をするか、見てみたかったからかね……矢張、逆上するのだろうか……そうなれば、更に面白いと思わないかい? エリスちゃん」

「うわぁ~……矢張、理由がリンタロウらしい、趣味悪い」

エリスの言葉をもろともせず、先刻とはまた別の笑みを浮かべるとリンタロウは楽しそうに言葉を紡ぐ

「それより、私も童心に返って異能で敵をばっさばっさとやっつけたくなったよ」

「中年には無理」

「非道いっ!」

鋭いエリスの突っ込みにリンタロウは声を上げた

「私は之でもーー」

すると、開けた場所へ出たリンタロウが目にしたのは1人の男性であった者ーー

それは先刻、徳冨が流していた血よりも濃く、鮮やかな血溜まりの中に横たわっていた

黒い服を身に纏った複数人の者達ーー

その中には"黒蜥蜴、更には五大幹部の1人である中原中也"

その者達は皆、リンタロウを見るなり、何の迷いもなくその場で跪いた

"跪く"……その行為は"敬愛"を示すものだ

「これが組合の刺客かね?」

リンタロウは全員の行動に驚く事もなく、中原に尋ねる

中原は力強く頷いた

「探偵社に組合、我々も又、困難な戦局と云うわけだ」

リンタロウは自身の頭に手を乗せると共に告げた

「最適解が必要だね」

未だ跪いたままの中原達の間をリンタロウは通って行く

リンタロウ……いや、それは彼の"本当の名"ではない

彼の名は森鴎外ーー

"ポートマフィアの首領"だ

「組合も、探偵社も……敵対者は徹底的に潰してーー殺す、」
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